破綻論理。

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空の記憶

第18話 ぼくは友達が少ないFirst posted : 2014.03.13
Last update : 2023.03.31

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 四回戦でシリウスに勝ったぼくと、順当にハッフルパフ生に勝ったジェームズは、簡単に表彰を受けた後、本戦へと進むことになった。
 今までは同級生ばかりだったから、呪文の程度もたかが知れていた。しかしこれからはジェームズ以外、皆上級生という舞台で戦うことになる。しかも唯一の同級生がジェームズなんて、こりゃもう完全に悪夢だろ。

 ……ともあれ、出るからには勝ち進みたい。
 ダンブルドアから表彰を受けつつ、ぼくはそんな決意を新たにする。
 しかし、そんなぼくの決心を早くも打ち砕く試練が待ち構えていたのだった。

『クリスマスダンスパーティーのお知らせ』

 そんな告知が各寮の掲示板に貼られたのは、十二月頭のことだった。





「何だよこのイベントは、何だこれ、一体何なんだこれは、非リア殺しにかかってんじゃん、ぼくはホグワーツに殺されるのか、あぁそうか」
、この時代にもこの世界にもそんな単語はないから、現実に戻っておいで」
「戻れるかっ! 一体なんなのさこれはっ! なにっ、だんすぱーてぃーって何! こんなの聞いてないよ!!」
「ダンスパーティーってのは、男女がダンスミュージックに乗ってダンスをするもので……」
「うるっさいなシリウスは!」

 空中に赤いボールを『出現』させシリウスに投げつける。シリウスは「ごふぉっ」と謎の言語を発して椅子から転がり落ちた。

 小部屋でのこと。喚くぼくを、悪戯仕掛人は生温い目で見つめている。最近のぼくと悪戯仕掛人は、よくこの小部屋で学校の地図作成と『動物もどきアニメーガス』の練習に取り掛かっていた。

「ぼくは知らない! 聞いてない!」
「まぁそう言うなって、我が友よ。君ならきっといい人が見つかるさ」
「そう簡単に見つかるかぁ!」

 今度はラグビーボールを『出現』させると浮遊呪文と攻撃呪文を同時に掛ける。グリフィンドールのクィディッチチームにて花形エースでいらっしゃいますジェームズは、ブラッジャーは避けられても至近距離のラグビーボールは避けられなかったようだ。椅子ごと後ろに倒れたジェームズは「ぐへっ」と声を漏らした。

「まぁ、大変だよねぇ。魔法魔術大会の本戦進出者、各学年二名ずつの計八名は最初に踊らなきゃいけない、なんて……」

 ピーターの呟きに「そうだよ!」とぼくは大きく頷いた。

「ぼくの友達の少なさを舐めるなぁ! ホグワーツでの友達なんてね、両手で数えられるくらいなんだぞ! 女の子の友達なんてリリーしかいないんだぞ! そんな奴の前にこんな無理難題突きつけてくれちゃって、一体何だよ!!」
「両手の数……」
「うわぁ、ごめん、……」
が壊れた……」

 身を起こしたジェームズとシリウスは、自分達の両手を見ては心底気の毒と言いたげな顔をぼくに向けている。
 そこで、穏やかに笑ったリーマスが凄まじいことを口走った。

「じゃあ、そのリリーを誘えばいいんじゃない?」
「……、あー」

 確かに。盲点を突かれた気分だ。でも……それは、うん。

「いや、リリーは……その」

 ……言えないなぁ。折角のチャンスなんだからと、昨日セブルスを思いっきり焚き付けてダンスパーティーに誘わせた、なんて……。

「……ねぇ、僕と君は友達だよね? エバンズが……何?」
「ジェームズその言い方は本当に卑怯だって!」

 言わざるを得なくなる。
 ……結局、昨日のことを洗いざらい白状させられてしまった……ごめんセブルス、なんかごめん。

「スネイプ……いやあんな奴はスニベリーで十分だ……」
「殺す……泣きみそスニベリー、爆発四散すればいいのに」

 ジェームズとシリウスの目が怖い。なまじ、リリーが学年トップの美少女なだけはある。

「……シリウス! 君モテるでしょ、モテる極意みたいなの教えてよ!」
「モテるって言われてもなぁ……」

 シリウスは困ったように頭を掻いた。そんな何でもない様子でもサマになる、憎たらしいほどハンサムな奴だ。

「お世辞でも俺、性格良くはねぇし……顔、としか」
「死ね!」

 床に転がるラグビーボールを拾い上げたぼくは、心から零れる言葉と共に呪詛を込めてシリウスの顔面に投げつける。しかし威力が弱かったのか、シリウスには難なくキャッチされてしまった。チッ、やっぱり魔法を使うべきだった。

「何だ? このヘンな形のボールは」
「ラグビーボールって言うんだ。ラグビーって競技で使うボールだよ、シリウス」
「ラグビー? どんな競技なんだ? リーマス」
「このボールを奪い合って、相手の陣地まで運ぶゲームさ」
「へぇ、面白いのか?」
「さぁね、僕はやったことないけど」
「とにかく! 君らは相手とかどうなったの?」

 テーブルをバンと叩いて皆の顔を見回した。

「僕は、一昨日かな? シリウスと一緒にいたら声掛けてきた女の子達が案外可愛くってね。オッケーしちゃった」
「右に同じく、だ」

 ジェームズとシリウスは、なんてーか。ブレないなぁ。

「僕は、別にそういうのはいいかなって。壁の花を決め込むよ、ダンスは元々苦手なんだ」
「僕は……クリスマスはどっちにしろ、家に帰る予定だったし」

 と、これはリーマスとピーター。……うぅん。

「……来世ではきっと、銀髪の氷雪系美少女とダンスできる気がするんだよね、ぼく」
「夢見がちなことを言っていないで、現実を見なさい、

 リーマスに結構ガチめな口調で怒られた。ちょっとくらい現実逃避して良くない?
 その時ジェームズが「でも、君さぁ」とぼくに身を乗り出してきた。

「僕が言うのも変だけど、顔も性格も悪くない、むしろ全然いいと思うよ?」
「……褒められてる気があんまりしないんだけど」
「ちゃんと褒めてるって、だって僕はほら、君の初チューの相手だぜ?」

 無言で殴った。
 何をって、奴の眼鏡を、利き腕である左で、グーで。
 レンズが割れたかは分からないが、フレームぐらいなら歪んだんじゃないだろうか。ジェームズが床でもんどり打っているものの、他の皆も「自業自得だ」という目で見下ろすばかりで、心配の言葉すら掛けもしない。

「……じゃ、じゃあは、誰か気になる人とかいないの?」
「気になる人?」

 うん、とピーターは頷いた。

「友達じゃないけど、これから友達になりたいなーって人。そういう人に思い切って声を掛けてみるのはどうだろう?」
「おお、ピーター良いこと言うじゃねーかっ!」

 シリウスがピーターの頭をぐしゃぐしゃっと乱暴にかき混ぜる。リーマスも「それはいい考えだね。どう、? そういう人はいないの?」と笑顔を見せた。

「これから友達になりたい人……」
「気になる人、でもいいんじゃないかな。なーんかこの人最近気になってんだよねーって人。そういう人をダンスに誘ってみるのもアリだと思うよ」

 ──気になる人。これから友達になりたい人。

「……あ、一人いる」
「じゃあ、決まりだ。その人に誘いを掛けるべきだね。僕の眼鏡がそう言ってる」
「ジェームズ、眼鏡割れてんぞ」

 割れた眼鏡をくいっと押し上げる仕草をしながら、ジェームズは床から椅子へと這い上がってきた。シリウスが呆れたようにツッコミを入れる。

「……んー、あの人かぁ……乗ってくれるかなぁ」
「大丈夫、とは一概に言い切れないけど……の性格がいいのは僕らが保証するよ。顔もほら、今流行りの『可愛い系男子』ってとこで」
「そこんじょそこらの女よりもは可愛いから、大丈夫だ」
「シリウス、それ褒めてないよ……」

 しばらくぼくは悩んだものの、最後には「……分かった、行ってくるよ」と結論を出した。何故か拍手が巻き起こる。

「で? 折角だし、名前くらいは教えて欲しいもんだなぁ。ここまで応援した身としてはよ」

 シリウスがそう言うのももっともか。分かったよと頷いて、ぼくは口を開いた。

「レギュラス・ブラック」
「……は?」

 

  ◇  ◆  ◇

 

 シリウス・ブラックがホグワーツへ侵入する事件があってからというもの、ぼくは出来る限りハリーと共に行動するようにした。

 勿論、空き教室から突然シリウス・ブラックが飛び出してくるかもなんてことは思っていないものの、それでも咄嗟の時にハリーを守れるようにすぐ近くにいた方がいい。逆転時計タイムターナーのせいでハーマイオニーとも四六時中行動を共にする必要があるものだから、ある意味一石二鳥でもあった。

 それでも流石にクィディッチの練習までは付き合い切れない。グリフィンドールのキャプテンであるオリバー・ウッドは、試合が近付くにつれ他寮であるぼくが練習を見ているのを嫌がるようになった。スパイのようなことをするつもりはないけれど、疑われるようじゃ仕方ない。

 試合を明日に控えた今、授業の合間にウッドに捕まったハリーを置いて、ぼくとロン、ハーマイオニーは、グリフィンドールとレイブンクロー合同の授業である闇の魔術に対する防衛術の教室へと急いだ。

 教室のドアを開けたぼくらは、教壇の前に立っていたのがリーマスではなく魔法薬学教授であった筈のセブルス・スネイプ教授であったことに、思わずポカンと口を開けた。

 教授はぼくらにジロリとした目を向ける。ロンが迂闊なことを言わないよう、ぼくは人差し指を口の前に当ててロンを見ると、ロンは不満そうに両手を広げて肩を竦めた。

「ハリーは間に合うかしら?」
「どうだろうな。あの状態のウッドには何言ってもムダさ」

 ハーマイオニーとロンがヒソヒソ声で話をしている。席に着いたぼくは、カバンの中から『天文学年表』を取り出すと今日の日付のところを開いた。
 ……そうか、満月は明後日だ。

 始業のチャイムが鳴るのを機に、教授は朗々と講義を始めた。ハリーはまだ来ない。

「さて、今日はルーピンが体調不良ということなので、我輩が代わってこの授業を受け持つことになった」

 地を這うような低い声だ。リーマスが体調不良だと聞いて、教室中が心配する声でざわめく。しかし直後、教授が「お喋りをするならばグリフィンドール、レイブンクローそれぞれから十点減点する」と言ったため、瞬時にざわめきは収まった。

「こんなに騒がしいクラスを受け持つとは、ルーピン先生の心労、お察しする」

 教授が皮肉げに唇を引き攣らせた。

「ルーピン先生はこれまでどのような内容を教えたのか、記録を残していない。これは教師として全くなっていないことだ。唐突に体調を崩すことで他の教師にそのお鉢が回ってくることもあるというのに……そう、今回の我輩のように」

 なんだか教授、今日はムダに生き生きしているなぁ。リーマスに表立って皮肉を言えることがそんなに嬉しいのか。
 幣原の記憶の中では、セブルスとリーマスはそこまで険悪ではなかったように思うけど……それから更に何かがあったのだろうか。あったのかもしれない。

 とその時、本当に間が悪いことにハリーが教室へと駆け込んできた。
「遅れてすみません、ルーピン先生。僕──」と呼吸を弾ませたハリーは、教授の姿を見て目を丸くした。

「授業は十分前に始まったぞ、ポッター。であるからグリフィンドールは十点減点とする。座れ」
「ルーピン先生は?」

 ハリーの問いに、教授は歪んだ笑いを浮かべる。

「今日は気分が悪く、教えられないとのことだ。座れと言った筈だが?」
「どうなさったのですか?」

 ハリー、たまにぼくは君の度胸に感服するよ。

「命に別状はない。グリフィンドール、更に五点減点。もう一度我輩に『座れ』と言わせたら、五十点減点する」

 ハリーはのろのろと教室を横切り、ロンの隣に腰掛けた。
 教授は教室中をぐるりと見渡す。

「ポッターが邪魔をする前に話していたことであるが、ルーピン先生はこれまでどのような内容を教えたのか、全く記録を残していないからして──」
「先生、これまでやったのは、まね妖怪ボガート赤帽鬼レッドキャップ河童カッパ水魔グリンデローです。これからやる予定だったのは──」

 ハーマイオニーが言い募ったものの、教授は「黙れ」と冷たく遮った。

「教えてくれと言った訳ではない。我輩はただ、ルーピンのだらしなさを指摘しただけである」
「ルーピン先生はこれまでの『闇の魔術に対する防衛術』の先生の中で一番良い先生です」

 ディーン・トーマスが勇敢にもそう発言した。
 グリフィンドール生はディーンの発言をガヤガヤと支持するが、ぼくらレイブンクロー生は半ば呆れ顔だ。グリフィンドールの勇敢さを履き違えてるとしか思えない。

「点の甘いことよ。ルーピンは諸君に対して著しく厳しさに欠ける。──赤帽鬼レッドキャップ水魔グリンデローなど、一年坊主でもできることだろう」

 確かに幣原の時代はそうだった。闇の魔法が流行っていて、身を守るための術を生徒に教える必要があったからだ。毎年先生が変わっていたのは今と変わらないものの。本当、呪われている席だよ。

 リーマス……先生は、ぼくらが一、二年の時にまともな授業を受けてないことを、あらかじめダンブルドアから聞いていたのだろう。基礎的なところをすっ飛ばしていきなり三年生で習うべき事柄を教えても分かる訳がない。リーマスはちゃんとした教師だった。

「我々が今日学ぶのは、人狼である」

 教授の声に、ざわりと胸が騒いだ。

「でも、先生、まだ狼人間までやる予定ではありません。これからやる予定なのは、ヒンキーパンクで……」
「ミス・グレンジャー。この授業は我輩が教えているのであり、君ではない筈だが。その我輩が、諸君に三九四ページを捲るようにと言っているのだ。……全員! 今すぐだ!」

 苦々しげな目配せがあちらこちらで交わされる。
 ぼくは黙って教科書を開くと、半ば睨みつけるような目つきで教授をじっと見た。

「人狼と真の狼とをどうやって見分けるか、分かるものはいるか?」

 教授が尋ねる。勤勉なレイブンクロー生でも、流石にそんなところまで予習ができている生徒はそういない。皆は教科書にじっと目を落としているが──あぁ、ハーマイオニーはいつものように手を挙げている──ぼくは教授を見つめ続けた。

 幣原が人狼を習ったのは四年生の時だ。三年生の教科書に書かれてはいたものの、時間が足りずに教え切れなくて、四年生の序盤に勉強した。それは教授も一緒だろうに。

「誰かいるか?」

 ハーマイオニーの姿を無視し、教授がせせら笑った。

「すると、何かね。ルーピン先生は諸君に、基本的な両者の区別さえまだ教えていないと──」
「お話しした筈です。私達、まだ狼人間まで行ってません。今はまだ──」

 パーバティ・パチル──レイブンクローのパドマ・パチルとは確か双子だった──が声を上げるも、教授はすぐさま「黙れ!」と怒鳴りつける。

「さて、さて、さて、三年生にもなって、人狼に出会っても見分けもつかない生徒にお目に掛かろうとは、我輩は考えてもみなかった。諸君の学習がどんなに遅れているか、ダンブルドア校長にしっかりお伝えしておこう」

 そこでハーマイオニーが堪え切れなくなったように口を開いた。

「先生。狼人間はいくつか細かいところで本当の狼と違っています。狼人間の鼻面は──」

 滔々と喋るハーマイオニーに対し、教授は殊更冷ややかに言った。

「勝手にしゃしゃり出てきたのはこれで二度目だ。ミス・グレンジャー。鼻持ちならない知ったかぶりで、グリフィンドールから更に五点減点する」

 ハーマイオニーは力なく手を下ろした。あまりの物言いに、クラス中がスネイプ教授を睨みつける。
 ロンが大声を上げた。

「先生はクラスに質問を出したじゃないですか。ハーマイオニーが答えを知ってたんだ! 答えて欲しくないんなら、なんで質問したんですか?」

 ロン、それは言い過ぎだ──きっと、クラスの誰もがそう思っただろう。

「処罰だ。ウィーズリー。更に我輩の教え方を君が批判するのが、再び我輩の耳に入った暁には、君は非常に後悔することになるだろう」

 その後は口を開く者は誰もいなくなった。教授が黒板に記す文字をノートに書き留める音で教室中が満たされる。
 ぼくは腕組みをしたままじぃっと教授を見据えていたものの、教授は意地でもぼくと目を合わせようとはしなかった。たとえ、ノートすら開いていないぼくの机のすぐ横を通ったとしても、だ。

「あの、アキ。ノートくらいは取った方がいいんじゃないかな……」

 ネビルが小さな声で囁く。
 そう言われちゃ……はぁ、無言の抵抗は諦めよう。
 この授業がきっかけで、リーマスが人狼であることに誰かが気付くかもしれない。ぼくはずっとそのことが気掛かりだったし、リーマスの秘密を知らしめようと動く教授にも腹が立っていた。

 杞憂? だって幣原は気が付いたじゃないか。
 加えてこのクラスの皆は、まね妖怪ボガートがリーマスの目の前で白銀の丸い球に──満月に──変身した様子を間近で見ているのだ。
 不完全だがヒントは与えられてしまった。これだけのヒントで気付ける人は流石にいない気はするものの……安心はできない。

 終業のチャイムが鳴ると、教授は言った。

「各自レポートを書き、我輩に提出するよう。人狼の見分け方と殺し方についてだ。羊皮紙二巻き、月曜の朝までに提出したまえ。このクラスは、そろそろ誰かが締めてかからねばならん。ウィーズリー、残りたまえ。処罰の仕方を決めねばならん」

 結局、授業中は一度も教授と目が合わなかった。目が合ったら即座に開心術でも掛けてやろうかと思うくらいには苛立っていたというのに。
 ……まぁ、教授に開心術なんて使うと後が怖いか。それに、この術は失敗した時は逆にこちらが『開心』させられると聞く。それは流石に嫌だ。

 教室から出た瞬間、皆が一気にスネイプ教授への不満をぶちまけた。

「いくらあの授業の先生になりたいからといって、スネイプは他の『闇の魔術に対する防衛術』の先生にあんな風だったことはないよ。一体ルーピンになんの恨みがあるんだろう? 例の『まね妖怪ボガート』のせいだと思うかい?」
「分からないわ。でも本当に、早くルーピン先生がお元気になってほしい……」

 曲がり角で、ぼくらレイブンクロー生はハリー達グリフィンドール生と分かれた。じゃあねとハリーに手を振り、ハーマイオニーに『また後で』と目配せをする。
 階段を上りながら、アリスは疲れた声で呟いた。

「まさか、この先ずっとスネイプが闇の魔術に対する防衛術を教えるなんて、ねぇよな?」
「それはないと思うよ」

 ぼくは淡々とそう返した。



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