BACK | MAIN | NEXT
セブルスの言葉を聞いて、秋はこの上なく嬉しそうに微笑んだ。
「……君なら、そう言ってくれると信じていた」
黒の瞳が、歓喜に揺らぐ。
「この未来を紡いだのはアキだ。ぼくじゃない──そう、ぼくじゃない」
軽く頭を振ると、右手を広げた。愛おしさを眼差しに湛え、笑う。
「それでこそ、ぼくの──親友だ」
「……当たり前だろう、秋」
あぁ、きっと、これで良かったのだ。
これで──良い。
「幣原秋。君は死ぬべきだ。未来をあの少年に譲り渡せ。そして……僕を赦して、くれるか」
「元から何一つ怒っちゃいないよ。君を信じて、良かった」
柔らかく秋は微笑む。かつて見慣れ、かつて焦がれた笑顔が、確かにそこにはあった。
純粋な笑顔だと、そう思った。
この笑顔をもう一度見ることが出来て、本当によかった。
「先に逝くよ。ぼくとリリーが恋しいからって、駆け足飛びにこっちへ来ないでよね。ふざけんなって、もう一度現世に蹴り落とすから」
「……あぁ」
どちらからともなく、手を伸ばし合った。指を合わせ、絡める。
「バイバイ、セブルス。……あぁ」
眦に涙を浮かべ、晴れやかに、秋は呟いた。
「今まで生きていて……よかったなぁ」
BACK | MAIN | NEXT