破綻論理。

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空の記憶

「ぼくがいない世界」-1First posted : 2016.04.25
Last update : 2022.11.06

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 セブルスの言葉を聞いて、はこの上なく嬉しそうに微笑んだ。

「……君なら、そう言ってくれると信じていた」

 黒の瞳が、歓喜に揺らぐ。

「この未来を紡いだのはアキだ。ぼくじゃない──そう、ぼくじゃない」

 軽く頭を振ると、右手を広げた。愛おしさを眼差しに湛え、笑う。

「それでこそ、ぼくの──親友だ」
「……当たり前だろう、

 あぁ、きっと、これで良かったのだ。
 これで──良い。

幣原。君は死ぬべきだ。未来をあの少年に譲り渡せ。そして……僕を赦して、くれるか」
「元から何一つ怒っちゃいないよ。君を信じて、良かった」

 柔らかくは微笑む。かつて見慣れ、かつて焦がれた笑顔が、確かにそこにはあった。
 純粋な笑顔だと、そう思った。

 この笑顔をもう一度見ることが出来て、本当によかった。

「先に逝くよ。ぼくとリリーが恋しいからって、駆け足飛びにこっちへ来ないでよね。ふざけんなって、もう一度現世に蹴り落とすから」
「……あぁ」

 どちらからともなく、手を伸ばし合った。指を合わせ、絡める。

「バイバイ、セブルス。……あぁ」

 眦に涙を浮かべ、晴れやかに、は呟いた。


「今まで生きていて……よかったなぁ」



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