破綻論理。

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空の記憶

第10話 じゅげむじゅげむFirst posted : 2013.04.14
Last update : 2022.09.13

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「それでは、御三方……ようこそ、我が部へ!」

 ジェームズ・ポッターは大袈裟な手振りで目の前の像を指し示す。しかし真面目な顔つきは瞬時に崩れ、すぐさま腹を抱えて笑い始めた。

「マジ、シリウスやべぇ……! 女の子と勘違いするとか、しかもナンパするとか……顔覚えてないとか、マジありえねぇ……」
「うるせぇな、こっちだってやっちまったー! って思ってんだよ! ……笑い過ぎだろ! ピーターまで笑ってんじゃねぇよ!」

 真っ赤な顔でジェームズに言い返していたシリウス・ブラックだが、ここに来てターゲットを変更したらしく、ピーター・ペティグリューにヘッドロックを極めに掛かる。「ちょっと、シリウス苦しいっ……」とピーターがシリウスの腕をバンバン叩くも、一向に緩む気配はない。

 ……ぼくとしては、そこで誰よりも笑い転げているリーマス・ルーピンが気になるんだけどな……。

 金曜日。つまり、本来の予定よりも二日ほど早く、ぼくとリリーにセブルス、それにジェームズ、シリウス、リーマス、ピーターは、東の賢者の石像前に集まっていた。

 理由は……まぁ、あまり大っぴらに言いたいことじゃないんだけど……その、シリウスとぼくが、えぇと、いろいろあってちょっと早めに出会っちゃって……そんなとこ。詳しくは前回をチェックだ。

「災難だったね、
「……ホントにね!」

 笑い過ぎて滲んだ涙を拭いながら労っても説得力ないよ、リーマス。

「全くもう、ナンパなんて最低よ!」

 と、これはリリー。

ってば凄く困っていたのよ! そういう強引さ、直した方がいいと思うわ!」
「リリー……」

 なんだろう、リリーが格好良過ぎて涙が。後、怒ってくれるのはとても嬉しいんだけど、改めて言葉にされると羞恥プレイ感が拭えません。せっかくぼくが言葉を濁したのに……。

 リリーは続ける。

「確かに、が可愛いのは分かるわ。だって私も抱き締めたいくらい可愛いなって思うもの。むしろたまに抱きついてるしね。ほっぺもぷにぷにでシミ一つないし、髪もサラサラでいい匂いするし無邪気な笑顔が超絶可愛くて毎日観察日記をつけたいくらいだけど!」

 …………あれ?

とお近付きになりたいのなら、私にへの想いを綴った羊皮紙を三巻提出しなさい! それから面会を許可するわ!」
「ちょっ、リリー!? いきなり何言ってんの!?」
「そうか……じゃあ、三巻出せばいいんだよね?」
「勿論内容はチェックするわ。八十点未満のものは不可よ」
「ジェームズも乗らないで!」

 本当に、どうしてこんなことに……。

「というか、なんでこの場にスリザリンなんかがいるんだよ?」

 ピーターを虐めるという照れ隠しから復活したシリウスが、腕を組んでセブルスを文字通り見下ろした。しかしそんな態度にも、セブルスは動じずににやりと笑う。

を狙う変態から、を守るためにな」
「ぐっ……」

 言葉に詰まり、悔しげにセブルスを睨むシリウス。対するセブルスは涼しい顔で「、何かあったらすぐに僕に言うんだぞ。ブラックがキモいとかブラックがセクハラしてくるとかブラックがウザいとか、なんでも言って構わないからな。すぐさま粛清してあげよう」とぼくに言う。曖昧に笑みを浮かべて肩を竦めた。

「それより、いつまでこんなところで喋ってるつもりだい? 僕、いい加減に中に入りたいんだけど」
「おっと、そうだな! リーマス大魔王様もお怒りなことだし!」

 リーマスが「僕、別に魔王でも王様でもないんだけどね……」と笑顔で呟く。……いや、その笑顔怖いって。

「中って? この辺り、部屋も何もないじゃない。廊下のど真ん中なのよ」

 リリーの言葉にジェームズは「お任せあれ!」と胸を張り、仰々しい仕草でローブから杖を取り出した。杖の先端を石像の眉間に突きつける。

 同時にシリウス、リーマス、ピーターの三人も表情を引き締め、ジェームズに倣い杖を取り出した。今から何が起こるのかがさっぱりわからなくて、ぼくとセブルスとリリーはそれぞれ顔を見合わせる。

 ジェームズは息を大きく吸い込むと「せーの!」と叫んだ。


  寿限無 寿限無
  五劫の擦り切れ
  海砂利水魚の
  水行末 雲来末 風来末
  食う寝る処に住む処
   藪ら柑子の藪柑子
  パイポパイポ パイポのシューリンガン
  シューリンガンのグーリンダイ
  グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
  長久命の長助


 物凄い勢いで四人が言い終わる。同時に、石像がパカりと中央から真っ二つに割れ、中に人一人が通れるくらいの穴が開いた。

「……一体どうして?」

 ぼくの声は、小さすぎて誰にも聞こえなかったようだ。

「さぁ、ついてきたまえ」

 ジェームズはぼくらの顔を見回し告げると、スルスルと中をくぐって行く。その後ろにリーマス、ピーター、シリウスが続き、残されたぼくらは半笑いで首を傾げあった後、彼らに続いて中を通っていった。

 中は小さな部屋になっていた。誰かがずっと昔住んでいたように、ベッドや机、本棚が置かれている。足元には絨毯が敷かれていて、真ん中には少し大きめの円卓が設置されている。

「ここが、僕ら悪戯仕掛人の司令室だ。そして、これからは君達の部屋でもある」

 ジェームズが恭しい仕草でぼくらに入室を促した。慣れたように杖を振り、椅子を三脚出すと座るように勧める。

 おずおずと腰掛けたぼくらの前に、手際よく紅茶が現れた。湯気まで立っており、まるで淹れたてほやほやのようだ。

「この部屋、一体どうしたの?」
「一年の頃、探検してたら見つけたのさ。誰も使ってなかったから俺らの部屋にしてるんだ」

 リリーの疑問にシリウスが答える。

「主にクラスメイトに聞かれたくない話をする時によく利用してるんだ。悪戯とか、ほら、皆にバレたら楽しくないだろう?」

 と、これはリーマス。

「ま、そういうわけだ。さっき僕らが唱えた呪文があっただろう? あれを唱えれば中に入れる。君達にはその権利をあげよう」

 ジェームズの言葉に、ぼくは黙って紅茶を傾けた。熱い紅茶は、しかし火傷しそうな程ではなく、丁度良い温かさで喉を滑り落ちていく。甘さも程よくコントロールされており、紅茶について詳しくないぼくでも、あぁ美味しいなと感じることができる味だった。

「……ひとつ、質問があるんだけど」

 いいかな、とぼくは左手を上げた。

「どうして君達は、ぼくを……ぼくらをここに誘ったの? ぼくらは、何をすればいいのかな?」

 ジェームズを見つめる。ジェームズは落ち着いた様子でぼくを見返すと、にこりと微笑んでみせた。

「何もしなくていいんだよ、
「……何も?」
「そう」

 カップを目の高さにまで掲げたジェームズは、ぼくを悪戯っぽい目で見た。

「どうやら君は、少し誤解しているようだ。君は、自分が誘われたのは自分が持つその莫大な魔力のためだと考えている。違うかい?」
「……そうじゃなかったら、何なの?」

 それ以外に、ぼくは理由が思い浮かばなかった。
 そう、何一つとして。

 ジェームズ・ポッターに見込まれたのは、ただただぼくが人並み外れた魔力を持っているというその一点のみで──他に、理由なんてないと思っていた。

 ────だから。

「言っただろ?『いい友達になれそうだ』って」

 驚いたんだ。

 だってこんなことを言われたのは、生まれて初めてだったから。

「君のことを知りたい。君のことを、もっとよく教えてほしい。──僕と、友達になってくれませんか?」

 差し出された手を、しばらくぼくは見つめた後。
 おずおずと出した右手を、彼は優しく握った。

「────あ、それと。ご存知の通り、僕らって悪戯仕掛人だからさ」

 にこやかな笑顔でそんなことを言うジェームズに、ぼくらは「?」と首を傾げた。

「だから──悪戯仕掛けられても、怒らないでね☆」

 ジェームズが頬に人差し指を当てて言うが早いか、セブルスの頭から「ぴょこん」と可愛らしい擬音を立てて黒い猫耳が飛び出した。セブルスと猫耳のコラボは、まるで奇跡とも言える絶妙なハーモニーを醸し出し、見るものの腹筋を崩壊させる程度の破壊力を持つに至る。

 真っ赤になったセブルスがジェームズに掴みかかるのは、それからそう遠くない話。


  ◇  ◆  ◇



 闇の魔術に対する防衛術の教室に着き、彼の著書全七冊を机の上に積み上げると、ぼくの座高では前が見えないという状況に陥ってしまった。隣で(いかにもロックハートの本を持っていること自体が嫌なように顔を顰めつつ)ぼくと同じように本を積み上げたアリスは、それでもまだ余裕げに目の前が空いている。張り合ってもどうしようもないことだけれど、でもちょっとだけ悔しくて、ぼくは気付かれないようにそっと本を数冊脇へ置いた。

 授業が始まる三分前に、ハリーがロックハートに連れられてやってきた。ハリーは「僕とこの人は何の関係もありませんし喋ったりもしていないですしそもそも興味自体ありません」と言いたげな澄ました顔でロックハートから離れると、ぼくらのすぐ後ろの席に座り、黙ったままロックハートの本を目の前に積み上げた。ぼくより背が高いハリーでも目線の高さまで積み上がるんだという事実に、少しだけ安堵を覚え胸を撫で下ろす。

「マジ、ないよ……」

 ハリーがため息と共に吐き出した言葉に、にやっと笑って肩を竦める。ぼくはできるだけ気の毒げな顔でハリーを振り返ると「お疲れ」と声を掛けた。

「お願いだよ、アキ、代わってってば」
「無茶言うなよ」

 その時ロンとハーマイオニーが教室に入ってきて、ハリーの両隣にそれぞれ腰掛けた。二人もハリーに労いの言葉を投げかける。でもハーマイオニーの声からは、隠しきれない羨ましさが滲み出ているぞ。

 全員が席に着いた後、ロックハートは大きな咳払いと共に生徒の前に進み出た。静まり返った教室で、ロックハートは手近にいたネビルの教科書を手に取り掲げる。表紙は勿論ウィンクをしている彼自身の写真だ。こんなにたくさん自分の顔に囲まれて、居心地悪くなったりはしないのだろうか。

「私だ」

 知っている、と喉元まで出そうになった。

「ギルデロイ・ロックハート。勲三等マーリン勲章、闇の力に対する防衛術連盟名誉会員、そして『週刊魔女』五回連続『チャーミング・スマイル賞』受賞──もっとも、私はそんな話をするつもりではありませんよ。バンドンの泣き妖怪バンシーをスマイルで追い払ったわけじゃありませんしね!」

 あぁ、今のは笑わせようとして言ったんだろうな。そう思って曖昧に笑みを浮かべてみるも、教室中は余計に白けた空気が漂っている。アリスなんて両腕を組んでは、顎を上げてすっげー興味なさそうな顔でぼうっとしていた。まだ眠たいのかもしれない。

「全員が私の本を全巻揃えたようだね。たいへんよろしい。今日は最初にちょっとミニテストをやろうと思います、心配ご無用──君達がどのくらい私の本を読んでいるか、どのくらい覚えているのかをチェックするだけですからね」

『テスト』という言葉にレイブンクロー生(アリス以外の、だけど)はざわついた。どんな内容のテストであれ、まずテストの存在自体に身構えるのだ。基本、真面目ちゃんの集団だからね。ぼくも分かるよ。……本当だからね?

 テスト用紙を配り終えたロックハートは、教卓の前まで戻ると「三十分です、よーい、始め!」と叫んだ。バサバサッと紙の擦れる音が教室中に響く。ぼくも用紙を表に返すと、内容に目を落とし──思わずぽかんと口を開けた。


 一.ギルデロイ・ロックハートの好きな色は何?
 二.ギルデロイ・ロックハートの密かな大望は何?
 三.現時点までのギルデロイ・ロックハートの業績の中で、あなたは何が一番偉大だと思うか?


 カチャン、という音が隣から聞こえた。アリスが羽根ペンを投げたのだ。そのままアリスは机に突っ伏すと、程なくして寝息を立て始める。アリスの自由っぷりが、今は割とかなり羨ましい。

 三十分後、テスト用紙が回収された。ロックハートはそれらをパラパラと捲りながら「チッチッチ──私の好きな色はライラック色だということを、ほとんど誰も覚えていないようだね」などと好き勝手に論評している。

 アリスはまだ突っ伏して目を閉じたままだ。本格的に寝入っているのかもしれない。さっき回収される前にアリスの答案をチラ見したところ、見事なまでに真っ白だった。名前すら書かれていない清々しさだ。……てかコイツ、意外とまつ毛長いなぁ……。

「……ところが、ミス・ハーマイオニー・グレンジャーは、私の密かな大望を知っていましたね。この世界から悪を追い払い、ロックハート・ブランドの整髪剤を売り出すことだとね──よく出来ました! それに満点です! ミス・ハーマイオニー・グレンジャーはどこにいますか?」

 ロックハートの声に、クラス中(アリス以外、だけど)がハーマイオニーを振り返った。ハーマイオニーはいつものように手をぴしっと伸ばしていたけれど、その手は微かに震えていた。

「素晴らしい! 全く素晴らしい! グリフィンドールに十点あげましょう!」

 パチパチと、されど曖昧に拍手が湧き上がる。これが他の教授で、もっと別のテストだったら、ぼくもちゃんと拍手するんだけど。ごめんね今回はこれで許してね、とぼくもおざなりに拍手をしていたところ、唐突に「ミスター・アキ・ポッター!」と名前を呼ばれ、びっくりして前を向いた。

「実に惜しい! 一問ミスです。第三問、今までの私の業績の中で、何が一番偉大だと思うか? の問題に回答していませんね? 先ほど自己紹介の時にももう一度お伝えしたというのに──まぁいいでしょう。ミスター・アキ・ポッターはどこです?」

 手を上げるのが物凄く恥ずかしい。アリスが寝ているのが救いだった。アイツに笑われたら立つ瀬がない。レイブンクローの皆もすごく微妙な表情でぼくを見ており、それがさらに何とも言えない感を増長させている。

「ミスター・アキ・ポッターは、えっと……レイブンクローですね。レイブンクローにも五点差し上げましょう。おや? 君はもしや、ハリー・ポッターの……」
「……はい、弟です」

「おぉ、君がそうか!」とロックハートはぼくにニッコリと微笑みかける。そしてすぐさまぼくに興味を失ったらしく「では、授業ですが……」と言うと机の後ろに屈み込んだ。

アキったら、何だかんだ言って彼の本もちゃんと読んでるんじゃない!」

 ハーマイオニーが目を輝かせて身を乗り出してくる。「暇だったんだよ……」と苦笑いを返した。

 そう、暇だったのだ。そしてロックハートの本は、いい暇潰しの役目を果たしてくれた。フィクションのSFだと思えば面白いものだ。文才があるのか随分と引き込まれる文章を書くし。

 ロックハートは覆いの掛かった鳥籠のようなものを取り出すと、教卓の上にそっと置いた。皆も緩慢に注意をそちらに向ける。

「さぁ──気を付けて! 魔法界の中で最も穢れた生き物と戦う術を授けるのが、私の役目なのです! この教室で君達は、これまでにない恐ろしい目に遭うことになるでしょう。ただし、私がここにいる限り、何物も君達に危害を加えることはないと思いたまえ。落ち着いているよう、それだけをお願いしておきましょう」

 ロックハートは覆いに手を掛け、低い声で囁く。

「──どうか、叫ばないようにお願いしたい。連中を挑発してしまうかもしれないのでね」

 雰囲気作りは得意なのか、弛緩していた教室も少しピリッとした空気が漂い出した。学校の先生なんかじゃなくて、俳優にでもなればいいのに。

 ロックハートはパッと覆いを取り払った。人の隙間から、ぼくも前に目を凝らす。

「さぁ、どうだ。捕らえたばかりのコーンウォール地方のピクシー妖精」

 誰かがプッと噴き出した。何人かが堪え切れずに笑っているのが目に入る。

 大きいふくろうが余裕で入るくらいのサイズの鳥籠に、群青色の身体をした小さなピクシー妖精が目一杯詰め込まれている。ピクシー妖精はキーキーと喧しく鳴き続けては、ぼくらに向かって挑発的に中指を立てる個体もいた。魔法界って本当に凄い。でも言うほど恐ろしくはないね。

「さぁ、それでは。君達がピクシーをどう扱うか、やってみましょう!」

 ロックハートは楽しげに叫ぶと、籠の扉をひらりと開け放った。途端に猛スピードで飛び出すピクシー妖精。おかげで教室は一瞬で阿鼻叫喚の大騒ぎ。

 ……というか、対処法の一つも教えてから放せよ。いい加減だなぁ。髪紐を引っ張ろうとするピクシーを手で追い払いながら、ぼくはため息をついた。

「さあ、さあ。捕まえなさい。捕まえなさいよ。たかがピクシーでしょう……」

 そう言うが早いか、ロックハートは杖を華麗に振り上げては「Peskipiksi Pesternomiピクシー虫よ去れ!」と叫んだ。

「…………」

 しかし何も起こらない。

 一匹のピクシーがロックハートから杖を奪うと、ポイッと気軽に窓の外へと放り投げてしまった。ヒェッと肩を縮めたロックハートは、そのまま机の下に潜り込んでしまう。

「一体、何の騒ぎだコリャ……」

 ふと隣を見ると、アリスが不機嫌そうに眉を寄せては教室の惨状を眺めていた。アリスの雪印ピアスに悪さしようとしていたピクシーを無造作に捕まえると、平然と机に叩きつける。哀れなピクシーは、それで伸びてしまったようだった。

「んだよ、ピクシー? バッカじゃねぇの」

 アリスが吐き捨てるのと同時に、授業終了のチャイムが鳴る。ロックハートが何かを言う前に、生徒達は一斉に教室の扉から雪崩れ出て行った。

「さあ、君達にお願いしよう。その辺に残っているピクシーを摘んで、籠に戻しなさい」

 ロックハートは残っていたぼくらの姿を見つけると、そう言い残してそそくさと教室から出て行ってしまった。後ろでバタンと扉が閉まる。

「耳を疑うぜ」
「私達に体験学習をさせたかっただけよ」

 ロンの言葉にハーマイオニーが返した。いやいやハーマイオニー、それは流石に盲目すぎない?

「……はー、早く終わらせよっか」

 大きく息を吐いて、パチンと一回指を鳴らす。そこら中を好き勝手にはしゃぎ回っていたピクシーは、一瞬後、何か大きな手に押し潰されたように机の上に転がっていた。

「ずっと前から聞きたかったんだけど、アキってさぁ、何者?」

 ロンが尋ねるのに、軽く肩を竦める。

「さぁ、何なんだろうね」



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